メンバー紹介

メンバー紹介

市川 睦
茨城県立医療大学

私は 市川睦と申します。現在は茨城県立医療大学で大学教員をしておりますが、それまでは看護師として、子どもとその家族に関わってまいりました。また、小児看護専門看護師として現在も活動を行っています。
私が勤務していた病院の小児科は、重い障害があるお子さんが多いところでした。意思疎通が難しいお子さんの成長を、ご家族と共に喜べる事に大変やりがいを感じていました。そこで出会うご家族の方々の話を聞くうちに、何とか看護としてできる事が無いだろうか、と考えるようになりました。

大学院では「重症心身障害のある子どもの施設入所移行期における母親の意思決定プロセス」を研究しました。どのお母さん方も「自宅で、自分でみていきたい」と考えていました。子どもが思春期を迎える時期に医療的ケアが増え、在宅生活を継続していくことの困難さを経験し、その頃から施設入所も考えながら生活していました。施設入所のきっかけは様々でしたが、皆揺れ動く気持ちの中で施設入所を決断していました。
揺れ動く気持ちを少しでも支えることができるように今後も活動をしていきたいと考えています。

また、県内の小児看護に携わる医療従事者と、小児事例検討会を開催しています。皆で話し合うことで悩みが解決することも多く、つながること、話すことの大切さを実感しています。 このプロジェクトでは、個別相談や、ピアサロン、FEPなど、様々な形でたくさんの皆様とつながることができると思います。私も少しでも何かの役に立てると良いな、と思っています。 どうぞよろしくお願いいたします。

海野 潔美
茨城キリスト教大学

皆さんこんにちは。私は 海野潔美(うみのきよみ)と申します。現在、茨城キリスト教大学で小児看護領域の教員をしています。また、子どものことが大好きで、小児看護専門看護師という資格を持っていて、健康障害があるなしにかかわらず、すべての健康レベルの子どもとその家族の支援を継続して行っています。主には、発達障害のある子どもと家族と重症心身障害児の子どもと家族、そしてⅠ型糖尿病など慢性疾患のある子どもとその家族の支援を行っています。

私は、20年以上、小児科の看護師をしています。これまでの経験で、さまざまな病気や障害のある子どもたちとかかわらせていただきました。どのお子さんも病気や障害の程度は違いますが、それでもその子どもらしさや強さ、たくましさ、時々弱気になったりしながらも障害や病気に立ち向かっていく勇気ある姿をたくさん見せてもらいました。そして、そのようなお子さんを支えている家族の姿、あり方について看護を通して、学ばせていただきました。

私はいま、障害のある子どもとその家族や支援者を対象とした相談室で相談員をしています。この活動で大切にしていることは、対象者や子どもの強みを見出し、肯定的にフィードバックすることを心掛けています。障害のある子どもの在宅療養においては、セルフケアの充足と確立への支援が重要です。在宅療養では、その子どもらしさ、その家らしさをより大切にしていく事が求められます。彼らの持っている「強み」は、これまで子どもとその家族が歩んできた人生史が背景にあり、そのため自分たちらしい生活をしていくためには、「強み」を活かす事が個別性の尊重に繋がり、重要であると考えます。私は、子どもとその家族のできない事、できなくなった事に着目するのではなく、もともと持っている「強み」に着目するようにしています。子どもと家族が安心して生きていく術を彼らの持っている「強み」より共に見出し、困難であった事を失敗ではなく成功体験に、問題と思われていた事を個性に変換して伝えることを意識しています。このような肯定的なフィードバックにより子どもとその家族が療養生活を送るにあたって、「自信」を培っていけるような支援を行っていきたいと思っています。皆さんとこのような活動を通して出会えることに感謝し、ともに考えていけたらと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

河野 禎之
筑波大学


KAWANO Yoshiyuki, Ph.D
筑波大学人間系障害科学域助教/臨床心理士/公認心理師。博士(障害科学)。

1980年大分県生まれ。2005年に東京学芸大学から筑波大学大学院へ編入学し、その後に大学教員に。学生時代より認知症の人と家族の支援に関する臨床研究に関わる。専門の研究領域は、認知症の認知機能障害及び行動・心理症状やQOLのアセスメント、非薬物的介入とその効果測定、認知症の人と家族のソーシャル・インクルージョン、認知症フレンドリー・コミュニティの構築等がある。認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(Dementia Friendly Japan Initiative)及び世界認知症若手専門家グループ(World Young Leaders in Dementia)メンバー。

2015年頃よりLGBTQ当事者学生との出会いから、ジェンダー/セクシュアリティを研究領域として取り扱う。2017年に「LGBT等に関する筑波大学の基本理念と対応ガイドライン」策定のとりまとめを担い、その後ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンターにて大学全体のDE&I(Diversity, Equity and Inclusion)、特にジェンダー/セクシュアリティに関する取り組みのとりまとめを行う。近年では、DE&Iに関するリカレント教育プログラムの開発にも取り組み、電通やEY Japan等の企業や団体とともに筑波大学エクステンション・プログラム「筑波大学インクルーシブ・リーダーズ・カレッジ」を開講した。プログラムの設計と運営の責任者をつとめ、さまざまな領域の社会人に向けてDE&I教育プログラムの提供を進めている。
これらの教育研究活動を通じて、LGBTQや認知症の人を含むさまざまな属性の人々の存在が尊重される「多様性社会」の実現を目指している。平成23年度日本老年精神医学会奨励賞、平成28年度日本認知症ケア学会石崎賞、平成29年度筑波大学BEST FACULTY MEMBER、令和4年度日本老年社会科学会奨励賞受賞。

木下 康仁
立教大学

現在、聖路加国際大学大学院看護学研究科特命教授(看護社会学)、立教大学名誉教授。
学位は、Ph.D.(Human Development and Aging, University of California, San Francisco)。
専門は社会学、社会老年学、質的研究法。

「ライフスタイルとしてのケアラー(介護・養育)体験とサポートモデルの提案」(科学研究費、基盤(B)2009-2013)の研究を行い、その成果の一部を『ケアラー支援の実践モデル』(ハーベスト社、2015)として刊行している。高齢夫婦間介護、若年認知症、重度心身障碍児、子育て支援、ペット飼育などを取り上げケアラー体験の多様性と支援の必要性を検討した。また、オーストラリアと英国のケアラー支援の現状についてフィールド調査を行った。

詳しくは、木下康仁・M-GTA質的研究塾 (yasuhito.site)

窪田 満
国立研究開発法人国立成育医療研究センター

私は、7年前から国立成育医療研究センター総合診療部の統括部長をしています。
総合診療科、救急診療科、在宅診療科、緩和ケア科の4科体制とし、「Until Every Child Has a Smile」というビジョンを掲げました。元気な子どもでも、高度な医療を必要としている子どもでも、慢性の疾病を抱えて生きていく子どもでも、医療的ケアが必要な子どもでも、生命の危機に直面している子どもでも、「どのような状況にいる子どもであっても、笑顔でいられる」ために小児医療に取り組んできました。高度な専門医療を行っている部門を支えながら、「どんな子どもでも診療する」という積極的な受け入れ方針で、救急外来、NICU、PICUからの重症な子どもを受け入れ、急性期治療と、在宅移行を含めた包括的ケアを実施しています。

このように、特に重症な疾患を抱えて生きている子どもに対するサポートを真摯に行ってきたつもりですが、御家族の立場に立ったアプローチが不足していると実感しています。どうしても私たちは御家族をケアする側のパートナーとしてのみ捉えてしまい、御家族もケアされるべき存在だという考えが不足しがちです。
厚労省の調査報告では、在宅医療的ケアの必要な子ども(特に人工呼吸器管理児)の御家族は睡眠時間が短く、1/4の方が睡眠を断続的に取っている状態でした。ただ私たちはそれに気が付いていながら、「大変ですね」で終わってしまっていて、腫れものを触るように御家族に接していたのかもしれません。また、特にきょうだいの皆様に対しては、本当に何もできていなかったと思います。重症な子どもが家族にいることで、御家族のwell-beingは変化します。しかし、私たちが御家族の笑顔を増やすことができるのなら、そこに新しいwell-beingが再構築されると思います。

今回の活動に参加させていただいたのは、御家族の笑顔を増やすために、何かお役に立ちたいと思ったからです。懸命に生きる子どもとご家族を応援できればと思っています。

佐藤 伊織
東京大学


東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻家族看護学分野 客員研究員

みなさま、はじめまして。
2022年3月まで、標記にある東大の家族看護学分野で講師をしていた佐藤と申します。4月からは日本医療研究開発機構という国立研究開発法人へ出向しておりまして、身分が客員研究員となっております。
東京都在住の2児の父親です。

経歴としては、まず、看護師として東大病院の小児病棟に勤めていました。がん、神経疾患、心疾患などをもつお子さんが多かったです。そういえば、当時の小児病棟には男性看護師が2名しかおらず、その自分ではないほうのもう1人(先輩)も、このプロジェクトのメンバーでいらっしゃいます。大変心強いことです。
退職後は大学院へ進学して、大学の教員となりました。大学教員は教育と研究が本務であり、教育では主に小児看護学関連の講義や実習を担当していました。学生のほとんどは大きな病気や障がいを持たずに育ってきた方々で、胎児・新生児から健康課題を持ちながらも発達していく子どもたちの話をすると、とても興味を持って聞いてくれるものです。中には、病気や障がいを持っていたり、自身がきょうだい児であったりヤングケアラーである学生もいました。このプロジェクトが、社会の中に様々な形で実装されるよう努めていきたいと思っています。

研究としてはずっと家族看護学や小児がん看護学に関する研究をしています。卒業論文で「きょうだい」をテーマにしたインタビュー調査(質的研究)もしましたが、現在はもっぱら統計調査・解析(量的研究)をしているように思います。プロジェクトに参加される皆様のひとつひとつの声(インタビューやアンケートへの回答を含みます)を、公に認められる形(相談やプログラム等、本プロジェクトで提供されるものが実際に有効であるという証)にして発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

滝島 真優
成蹊大学


成蹊大学 文学部 特別研究員
社会福祉士・保育士・公認心理師

みなさま、はじめまして。滝島真優と申します
私は、障害者福祉の現場でソーシャルワーカーとして就労支援、相談支援の経験を経て、大学にて社会福祉士の養成教育に従事し、現在は、障害のある人やそのご家族の支援に関する研究に従事しています。主に慢性疾患や障害のある子どものきょうだい(きょうだい児)の支援に関する研究に取り組んでいます。
私の弟には知的障害を伴う自閉症があり、姉としてともに育ちました。その経験から、学齢期のきょうだい児を支援する任意団体「きょうだい会SHAMS」を立ち上げ、栃木県宇都宮市を拠点に活動しています。きょうだい児を予防的に支援するためにアメリカで開発されたSibshops(シブショップ)のファシリテーター認定を受け、その普及にも取り組んでいます。
障害者家族の皆さまがそれぞれに自分らしく生きることができるよう、研究と実践の両側面からできることを続けていきたいと考えており、将来的には、障害者家族を包括的に支援するシステムを構築することが目標です。
本プロジェクトを通して、少しでもお役に立てましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

辻 京子
四国大学


四国大学看護学部看護学科 公衆衛生看護学

これまでに、看護師6年間と保健師15年間の臨床経験があります。臨床経験の中で、保護者からの暴力や子育てを放棄された子どもたちと出会う場面が多くありました。一方で、虐待者としてレッテルを貼られ悩む保護者との出会いもありました。虐待は、子どもにとって不利益となる行為を大人である保護者が行うことであり、子どもの成長や発達に影響を与えることです。子どもにとって不利益な状況をつくらないように、保護者にとって子育てしやすい環境となるように、虐待リスクやひとり親、ジェンダーの視点から虐待予防に関する研究に取り組んできました。

研究をすすめるなかで、養護教諭の方たちか「家族の世話をすることで学校生活に支障が出ている子どもたちの存在があり、虐待かどうか判断ができない」という意見をいただきました。養護教諭の方たちが、気にしている子どもたちは、ヤングケアラーと考えられる子どもです。現在は、養護教諭の方たちと、児童虐待、とりわけネグレクトとヤングケアラーに関する意見交換や学習をすすめ、ネグレクトやヤングケアラーを予防することや支援について考えているところです。

看護職としての臨床経験と今後も児童虐待・ヤングケアラーに関する研究を積み重ねることで、子ども達の最善の利益を守り、そして保護者の方たちが不安な時に相談できる環境を整えるお手伝いができるようにしたいと思っています。

永田 智子
慶應義塾大学


慶應義塾大学看護医療学部

在宅看護・退院支援・外来における在宅療養支援などの研究を中心に行ってきました。
家族へのケアについては、教育や研究を行う中で、実践から学ばせていただいています。
主な著書:外来で始める在宅療養支援(共著)、家族看護を基盤とした地域・在宅看護論(共著)

西垣 佳織
聖路加国際大学


聖路加国際大学大学院看護学研究科小児看護学

大学で小児看護学の教員をしています西垣佳織と申します。ケアラーのエンパワメントの一助になれますように、本プログラムに参加させていただいております。

自己紹介を少しさせていただきます。私は大学を卒業後、大学病院の小児科病棟と外来で看護師として働き始めました。その中で、様々な健康問題を持つお子さんとご家族の入院生活と、自宅での生活の支援に携わりました。特に医療的ケアが必要な状態で退院していくお子さんとご家族が、自宅での生活をスタートすることは、当初は私にとっては1つのゴールのようにも感じられましたが、外来で退院後のご家族とお会いする中で意識が変わりました。ご家族は自宅での生活が充実したものであると話されながらも、医療的ケアの負担が大変大きく、医療福祉や看護支援が必要な状況にいました。「退院はゴールではなく、1つのマイルストーンに過ぎない」とまざまざと気づかされた経験から、子ども中心のケアに加えて家族全体をケアする視点も大切と感じ、その後は大学院で家族看護学を専攻しました。並行して重症心身障がい児専門の訪問看護ステーションに非常勤看護師として勤務しました。これも大学病院での看護の経験を積む中で、「入院中にと自宅でのお子さんとご家族の様子は全く異なる」ことを多く経験し、自宅でのお子さんとご家族の生活を知りたいと感じたからです。例えば入院中に寝たきりだったお子さんと外来でお会いした時に元気に歩行器で歩いていて嬉しく思ったことがありました。また、入院中は緊張しながらお子さんをケアしていたご家族が、外来では自然な家族の生活の中で自分たち家族なりにアレンジしたケアを行っていました。訪問看護では、このような入院中とは異なる自宅で過ごすお子さんやご家族の状況を、基礎から学ばせていただきました。

上記のような軌跡を経て、現在は大学で小児看護学を担当しながら、研究では重症心身障がい児、神経発達症群の子どもと家族へのケアについて考え続けています。新しい概念でもあるテレナーシングにも関心を持っています。皆さんのお力になれることがありましたら幸いです。

藤岡 寛
茨城県立医療大学


みなさん、こんにちは。
私は、茨城県立医療大学で看護教員をしております。主に小児看護学や家族看護学といった、子どもと養育者を対象とする分野を担当しています。

これまで10年以上にわたって、大学病院・重症心身障害児病棟・障害児施設等で様々な疾患や障害をもつお子さんとご家族への看護支援を行ってきました。お子さんやご家族(ケアラー)はそれぞれに何らかの困難を抱えながらも、元気に明るく過ごしておられて、そのバイタリティを目の当たりにして、支援をしているはずの私のほうが逆に励まされる経験をたくさんしてきました。

しかし、ケアラーといっても、母親もいれば、父親もいます。私はかつて、障害児とその母親がペアで入院をする母子入園(親子入園)病棟で勤務していたことがあります。そこでは、児への発達支援と母親への育児支援が多職種チームにより集中的に行われていて、母子は元気になります。一方で、自宅に残されている父親が母子から心理的に離れてしまう懸念があります。そこで、母親と父親が協力して育児できるような支援が必要だと感じています。現在、夫婦共同育児の実態を把握したうえで、共同育児を促すための実践的な支援方法を考案中です。

さて、当プロジェクトのキーワードになっている「家族エンパワメント」は、私がこれまでケアラーから感じてきた元気さ・明るさ・力強さを、説明しようとしている概念だと思います。これまで障害児の養育者を対象に、家族エンパワメントの実態や醸成プロセスを明らかにしてきました。当プロジェクトの一角である家族エンパワメントプログラムの策定や試験的運用にも関わってきました。今後も引き続き家族エンパワメントプログラムの運営を行っていきます。加えて、ピアサロンや個別相談を通じてより多角的にケアラー支援に携わっていきたいです。
当プロジェクトを通じて、ケアラーのみなさんの力添えができることを嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

松澤 明美
北海道大学


北海道大学大学院保健科学研究院 創成看護学分野・小児看護学教室
一般社団法人日本ケアラー連盟/理事

障がいのある子どもの親が健康で安心して子育てすることができ、かつ自分自身の人生をも大切にしながら暮らすためには何が必要なのか? 小児病棟での看護師と産婦人科病院での助産師の経験から、病気や障がいのある子どもだけではなく、これらの子どもを育てる親自身、家族全体への支援が必要ということを強く感じて、研究を通じて取り組んできました。近年は、障がいのある子どもを育てる家族に関する下記をテーマとした研究を進めています。

1. 家族の健康とQOLに関する研究
2. 母親・父親の子育て観に関する研究
3. 母親の就労に関する研究
4. 家族のソーシャル・キャピタルに関する研究
5. 子どもと家族へのケア・コーディネーションに関する研究

その他、家族をケアする家族(ケアラー)の健康、QOLやWell-being、支援のあり方に関する研究、また地域において、これらのケアラーへの支援を推進するための社会貢献活動も行っています。

森田 久美子
立正大学


立正大学社会福祉学部教授。精神保健福祉士、人間学(博士)、社会福祉学(修士)。 専門は、精神保健ソーシャルワーク、ソーシャルワーク教育。

2015年一般社団法人日本ケアラー連盟ヤングケアラープロジェクトに参画、2017年より同ヤングケアラープロジェクト担当理事として、ヤングケアラーの支援施策の提言に取り組む。2019年厚生労働省がヤングケアラーの支援施策を検討するために実施した調査研究(「(厚生労働省令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業)ヤングケアラーの実態に関する調査研究検討委員会」及び「(厚生労働省令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業)ヤングケアラーの実態に関する調査研究検討委員会」「(厚生労働省平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業) ヤングケアラーへの早期対応に関する研究検討委員会」)に委員として参加。また、公益社団法人日本精神保健福祉士協会「子ども・若者・家族支援委員会」委員及び一般社団法人ジャパンファミリワークプロジェクト主催「メリデン版訪問家族支援」基礎研修トレーナーとして、精神に「障がい」のある人とその家族をまるごと支援することに取り組む支援者の育成に従事。2022年東京都ヤングケアラー支援検討委員会委員(座長)及び山梨県ヤングケアラー連絡会委員、大里地域自立支援協議会委員(会長)。

【主な著書・論文】
・堀越栄子・森田久美子他『ヤングケアラーを支える:家族を支える子どもたち』日本看護協会出版会,2021年
・森田久美子「ヤングケアラーの教育保障とその対策:小学生のヤングケアラーに焦点をあてて」『季刊教育法』213号,46—51頁,2022年
・森田久美子「ヤングケアラーが求める支援と実際の支援」『社会福祉研究』141号,10-18頁,2021年

渡邉 照美
佛教大学


佛教大学教育学部

専門領域は生涯発達心理学です。大学時代に人は生涯、発達する存在だということを学び、生涯発達心理学に興味を持ちました。そして、大学院生時代は、家族を看取るという死別経験によって、遺された方はどのような人生を歩んでおられるのかということについて研究をしてきました。20代の私は家族をケアすることは負担感も多いけれど、否定的な側面だけではなく、ケアすることによって成長・発達するという肯定的な側面もあるのではないか、そしてそれを示すことは、ケアしている方にとって、ひとつの光になるのではないかと考えていました。確かに、それらの研究からは肯定的な側面での変化が認められるという結果を得ましたが、実際に調査協力してくださった方々のリアルな声を聞かせていただいて、否定的な側面も含めて、きれいごとではないケアの実態をしっかりと考えていく必要性があることを再認識いたしました。

その後、大学に勤務するようになり、親やきょうだいに障害や病気があり、幼い頃から世話をしている大学生や家族を看取った経験のある大学生が一定数存在することが経験的にわかってきました。しかし、全体数で考えれば少数であるからこそ、「言い出しにくい」、「話してもいいのですね」、「自分らしく生きてもいいのですね」といった声が私のところに届くようになりました。そこで10年程前から、障害のある子どもの家族(母親・父親・きょうだい)に面接調査を実施し、それぞれの立場での悩みや困りごと、また家族のレジリエンス等を検討しています。そして、数年前からは10代から30代の若年ケアラーの方々の実態を明らかにするため研究を進めています。

私は教育学部で保育・教育者の養成に携わっています。現職教員とお話する機会も多いので、学校教育において、障害と病気のある家族が「ケアする存在であるとともに、ケアされる存在でもある」ことを発信できたらと考えています。人にはそれぞれの見え方、聞こえ方、感じ方、考え方があるという個別性を大切にしながら、このプロジェクトの一員として、ケアラーの方々のエンパワメントを応援したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

岩田 直子
筑波大学附属病院


筑波大学附属病院医療連携患者相談センター
ソーシャルワーカー【認定社会福祉士(医療分野)・精神保健福祉士)】

私は現在、大学病院で医療ソーシャルワーカーとして働いています。医療ソーシャルワーカーは、保健医療機関において社会福祉の立場から患者さんやその家族の方々の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決・調整を援助し社会復帰の促進を図る業務を行います。日々、患者さんやご家族のお話を伺い、院内スタッフや関係機関と連携しながら支援を実施しています。

小児科を担当させていただくようになってからは、昼夜問わずケアに追われ心身ともに体調を崩される親御さんや、一度も家族全員で外出したことのないきょうだい児達、医療スタッフ等大人との関わりはあっても同世代の子ども達と遊ぶ機会の少ない病気や障害のある子ども達との出会いを通じて、多くの社会的課題を考えるきっかけをいただきました。

一方、親御さんや当事者の会の皆様の強い意志と行動によって社会が変化していくことも学び、大学院では医療的ケア児を養育する親御さんのレジリエンスとソーシャルサポートについて研究をしました。
本プログラムはリモートケアシステムを通じて、専門職やケアラー経験者、立場を同じくするピアのケアラー同志ともつながることができます。

困っている時、大変な日々の渦中にある時は、何を相談すればよいかわからなかったり、こんなことを相談していいのかな?と思ってしまうこともあると思いますが、このプログラムが多くのケアラーの皆様のお目にとまり、社会資源のひとつになっていただければいいなと感じています。代表の涌水先生とのご縁もあり、前回のFEP(Family Empowerment Program)に引き続き今回のプロジェクトでも、協力させていただくこととなりました。
ソーシャルワークの立場からも、皆様のお役にたてるよう努力してまいります。

沖 侑香里
静岡きょうだい会

静岡きょうだい会代表。医療的ケアが必要な重症心身障害児者である妹とともに育つ。大学時代に「きょうだい」という立場性を知り、各地のきょうだい会に参加。20代半ばには「親なきあと」「妹の看取り」を経験。これまでの経験から地元静岡でも「きょうだい」のための啓発活動と居場所づくりの必要性を感じ、2018年に任意団体「静岡きょうだい会」設立。共著に『ヤングケアラーわたしの語り 子どもや若者が経験した家族の介護・ケア(生活書院)』。

静岡きょうだい会
静岡県富士市を拠点に2018年に設立した任意団体です。病気や障害のある方の「きょうだい(きょうだい児)」のピアサポート活動及び啓発活動を行っています。

ピアサポート活動
対象は、主に18歳以上の「きょうだい」としています。1~2か月に1回のペースで開催し、子ども時代の経験や最近の困っていること・悩んでいること、将来について考えていることなどを共有しています。講師を招いて勉強会を開催することもあります。コロナ禍の現在は活動の場所をオンラインに移し、全国各地の「きょうだい」の方と交流することができるようになりました。また、昨年からは東海北陸地方の4つのきょうだい会でコラボしたオンライン企画も半年に1回のペースで開催しています。

活動の様子

啓発活動
自治体や学校、施設、親の会などの団体様での講演会・研修会への登壇、メディア等を通じた発信を行っています。最近では、病気や障害のある方の「きょうだい」のことだけでなく、家族の介護やケアを担う子ども「ヤングケアラー」についての依頼も増えています。

後藤 あゆみ
訪問看護ステーションそら


医療法人財団はるたか会 訪問看護ステーションそら

小児専門病院NICUで勤務後、現在家族支援専門看護師として訪問看護ステーションにて勤務しております。主に在宅で生活する医療的ケアを必要とするお子さん、および成人移行した方とそのご家族に関わっています。